広東語と標準中国語(北京語)は、発音において特に大きく異なります。子音や母音の違いがあることはもちろんですが、広東語には声調と呼ばれるトーンが6種類存在します。(下図参照)
標準語(北京語)の声調は全部で4声ですので、中国語の勉強で声調に悩まされた経験がある方には大変わずらわしく思われるかもしれません。
さらに、促音とよばれる「詰まる音」が3種類存在するので、声調は9種類とする意見もあります。促音とは発音の末尾が「t,p,k」で終わる場合のことで、「試 si スィー」と「摂 sip シップ」はまったく違う発音です。このような促音は標準語では消滅してしまいました。
そして、広東語では、長音と短音を区別します。例えば、「晩 maan マーン」と「敏 man マン」は異なる発音と認識されます。このような区別はやはり標準語ではすでに存在しません。
広東語と同様に古くに中国語から分岐したベトナム語も、「多くの声調」「長音と短音の区別」「促音の存在」などの特徴を持っており、広東語が、古い中国語の特徴を数多く残していることが分かります。