単語の違い

広東語と北京語で異なる言葉遣いをするパターンは大きく分けて以下に示す3タイプです。

古い中国語の影響が残っているタイプ

外国語に影響されたタイプ

香港独自の言葉が作られたタイプ

それぞれが広東語の重要な特徴ですので、ひとつずつ紹介していきたいと思います。

古い中国語の影響が残っているタイプ

例としては、文法上の助詞や介詞,動詞が多く、現在では文語でしか使われない言葉が広東語では口語として残っています。

代表的な例では、標準語では「是」に相当し、肯定を表す動詞「係」,「すぐに」という意味を表す「即刻」(標準語では「馬上」など),目的語を導く介詞「將」(標準語では「把」),食べるという意味の「食」(標準語では「吃」)などが挙げられます。

詳しくは広東語辞書もしくは言い換え辞典を確認ください。

外国語に影響されたタイプ

特に英国統治下の香港で広く使われた言葉が該当します。

バス=「巴士(バーシー)」,タクシー=「的士(ディクシー)」,チップ=「貼士(ティプシー)」など、外国語、特に英語の単語をそのまま音訳したものや、「残業をする」という意味の「開OT(OTはOver Timeの略)」のように英語と広東語を組み合わせたものなど、実に多種多様なバリエーションがあります。

また、和製英語ならぬ港製英語とでも言うべきものもあり、「short short 地」などはその代表格といえます。
その意味するところは「少し足りない=壊れてる=どうかしてる」という意味で、機械などの調子がおかしい場合にも、人間がおかしい場合にも使えます。
発音も「ソッソッ デイ」などと読まれ、本来の英語から、大きく逸脱しています。

数は多くありませんが、ポルトガル語や日本語から入ってきた言葉もあります。

香港独自の言葉が作られたタイプ

香港の文化,風俗などに密接に関係し同様にさまざまなバリエーションがあります。

中には標準語に存在しない概念や言葉も多く含まれています。

例えば、香港は早くから高層建築が多く、飛び降り自殺・事故等が多かったことから激安品のことを「跳樓貨(「跳樓」は飛び降りのこと)」と呼んだり、赤いジャケットを着た職員を金魚に見立てて香港証券取引所のことを「金魚缸(金魚ばち)」と呼んだりするなどです。